市町のみなさまへ
2019.04.24
薬剤耐性菌(AMR)を知っていますか?~抗生物質・抗菌薬が効かなくなる未来を防ぐために~
近年、抗菌薬(抗生物質)が効かない薬剤耐性(AMR)を持つ細菌が世界中で増えていることをご存知ですか? 今、感染症の治療において大きな問題となってきています。抗菌薬は細菌にしか効きません。必要ないときに抗菌薬を使用することで、耐性の細菌が増えてしまいます。抗菌薬を大切に使うことが今、求められています。
私たちは病院や診療所を受診すると抗菌薬(抗生物質とも呼びます)をもらうことがあります。抗菌薬は細菌に対して効果のある薬剤です。細菌とは目で見ることはできない小さな生物です。細菌の一部は、肺炎や血流感染症など感染症を起こします。ウイルスは細菌よりも小さく、抗菌薬は効きません。インフルエンザウイルスや、ノロウイルスなどが有名です。私たちが風邪(感冒)とよぶ症状もウイルスによって引き起こされます。ウイルスに対する薬(抗ウイルス薬)はまだ少数しか開発されておらず、基本的には自力で治す疾患です。
抗菌薬は、細菌感染症の治療において重要な役割を担っています。しかし、抗菌薬の不適切使用により抗菌薬が効かない薬剤耐性菌が増えます。耐性菌が増えれば感染症の治療が難しくなり、重症化し時に死に至る可能性が高まります。耐性菌が増えることにより被害をうけるのは、1歳未満の乳幼児、糖尿病やがんなどの病気をもつ方々です。
今、日本全体で抗菌薬を適切に使い耐性菌を減らす動きが始まっています。私たち沼津医師会でも、「日常診療で経口抗菌薬を処方する機会の多い一般開業医が、率先して抗菌薬適正使用に取り組まなければならない」という思いがあります。さらに、抗菌薬適正使用について、抗菌薬を処方する医師のみならず一般市民の皆様にも広く知っていただくために、今回ホームページに掲載しました。
皆様がかぜをひいた時、抗菌薬は必要でしょうか? かぜのほとんどはウィルスが原因ですから、抗菌薬はほとんど必要がないのです。かかりつけ医を受診した際、「かぜなので抗菌薬はいりませんよ」と言われたら、その先生はあなたのこと、そして将来のことを一生懸命感考えてくれているのだと思ってください。
皆様のご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。
一般社団法人 沼津医師会